男子達の誘いを心の中でうんざりしながら、
 程よい理由をつけて断り、
 緋色と二人で校門を出ようとしていた時だった。


「桜木さん、川原さん」

 不意に背後から名前を呼ばれた。

 振り返ると、藤井賢哉と佐々田拓弥。

 二人が立っていた。



 振り向いたわたしたちに、

「桜木さんたち、おれたちが送っていくよ」

 そう声をかけられた。

 彼らのクラスメートにでも話しかけるような自然な口調と表情。
 しかも断定的。


 初対面なはずなのに。


 緋色を前にしても、
 緊張感とか見惚れるような素振りも感じられない。

 真近で見たらあまりのかわいさに、
 みんな一様に声をなくすのに。




 わたしは、彼らを頭のてっぺんから足の先まで
 見回してしまった。