「どうしたの?緋色」

 わたしの目の前にいる少女。
 名前を呼ぶと、
 じっと何か言いたそうにわたしを見ている。



 彼女の名前は桜木緋色(さくらぎひいろ)。

 小学生の頃からの親友。
 わたしのお気に入り。
 大好きな女の子。

 男子達が一番誘いたがっているのはこの子で。



 長い睫に縁どられた黒目がちの少し大きめな瞳。
 ふっくらとしたほんのりと桜色の唇。
 すっと通った鼻筋、ポニーテールにしたサラサラとした
 少し栗色がかった長い髪。
 小柄ではあるけれど、モデル並みのバランスの取れた
 ほっそりとした華奢な身体。

 そのすべてが、整っていて魅力的でかわいい。
 精巧に作られた愛らしい人形のよう。

 それから
 あどけなくて、純真で、天然で。

 そのどれもが、全てが。

 かわいくて。

 
 おまけに声もいいのよ。少し高めの甘い声。

 その声が媚を売ってるとか、ぶってるとか、
 女子の一部では悪口を言っているのも知っている。

 それは緋色に対するつまらない嫉妬、やっかみ。

 女子って。


 わたしはその声で、名前を呼ばれるのが好きなのよね。

 初めて会った日、身近にこんなかわいい子もいるのかと感心して、
 友達になりたいと初めて、思った女の子だった。

 見れば見るほどかわいくて。
 かわいすぎて。

 いわゆる一目惚れっていうやつ?

 それ以来ずっと一緒にいる。