普通な学校生活を送るための傾向と対策

「あれっ! どこにやったんだろう。おかしいなぁ。ちゃんとカバンに入れたはずなのに」  

 何やら、ぶつぶつと言いながら緋色が、カバンの中と机の中をひっくり返している。
 後ろからそれを眺めながら、わたしは声をかける。

「どうしたの? 何か探し物?」

「うん。数学の教科書がね、見つからないの。確かに持ってきたんだけどなぁ」

 机の上に教科書やノートを積み上げひとつひとつ確認している。

「やっぱり、ない。どうしよう」

 緋色は焦ったようにオロオロしだした。

 忘れたら隣の人に見せてもらうという手もあるけど・・・隣は男子、役得というものをあげるつもりはないから。

「じゃ、借りに行こうか」

 わたしは席を立った。

「えっ! どこへ?」

 怪訝そうに見上げる緋色に、

「佐々のところよ。行きましょ」

「佐々くんのところ?」

 ますます、わからなそうな顔をする。

「今日、数学があったはずだから、持ってきてるはずよ。借りに行きましょ」

「……うん」

 わたしたちは教室を出ると、階段を下りて2階の教室へと歩いていく。

 1学年10クラスあって、2組のわたしたちは3階、佐々は6組で2階、8組の藤も2階。佐々の教室は突き当りにあるので、廊下がない。開け放たれている入り口から覗くと、教室の真ん中あたりでクラスメート達と話している佐々の姿が見えた。