普通な学校生活を送るための傾向と対策

「そう、亮さんも二人の名前呼んでたし・・・」

「名前? 呼んでた?」

 緋色は昨日のことを思い出すように、
 眉を顰めながら目をつぶった。

「そうだったっけ?」

 結局思い出せなかったみたいだった。

「亮さんは憶えているのに、緋色は憶えていないなんて。
それ知ったら、亮さん悲しむと思うなあ・・・」

 ここぞとばかりに大げさにいってみる。
 こういう時は多少の誇張は必然よね。
 わたしの見解では、亮さんは気にしないと思うけど。
 むしろ、彼らに関心がないって喜んでいるかもね。
 それを言ったらおしまいだから黙っておく。

「お兄ちゃんが?」

 緋色の瞳が不安げに揺れる。動揺しているのがわかる。
 亮さん命の緋色には悲しませたり、
 嫌われたりってかなりのダメージになるだろうから。
 そういうところを利用するわたしって。

「だって、お気に入りなんでしょ? 見ていてわかるわよ」

「・・・そういえば、昨日。お兄ちゃん、あんな弟たちほしいって言ってた」

「はっ? 弟? なんでまた・・・」


 わたしは面食らったように緋色に聞き返した。

「わかんないけど・・・弟なら翔くんがいるよって言ったんだけど。
いるけどねぇ・・・・って、そこから先は何も言わなかったけど?」

 わたしは吹き出してしまった。可笑しい。笑えるわ。
 実の弟がいるのに、藤井と佐々田を弟にしたいなんて思わせるなんて、
一体、翔ってどんな弟やってんのよ。見てみたいわ。
 これは是非とも。でも、今は、面白がってる場合ではないわね。

「だったら、なおさら、名前憶えてあげたら? 亮さんも喜ぶわよ」

 これで決定かしら?

「うん、わかった」

 首を縦に振り頷いてくれた。
 よし、OK!

「名前は何だったけ?」

 決断すれば行動は早い。

「藤と佐々よ」

 この際、フルネーム憶える必要もないでしょう。
 なるべく短く、呼びやすいようにね。