普通な学校生活を送るための傾向と対策

 あまりの素早さに、わたしたちは呆気にとられた。

 何があったんだろう。理由がわからない。

 亮さんはというと、自分の傍らにいたはずの、
 今はいない自分の隣を見つめ、そのあと緋色が去っていったドアを見つめていた。

 突然の緋色の行動に誰もが呆然とするばかりだった。

 緋色が自分の意志で亮さんのそばを離れるなんて。
 今まで見たことがない。

 しかも、翔とはいえ、他の男子の後を追いかけるなんて。 

 会話は途切れたまま・・・

 灰色と黒が混ざったようなどんよりと重い空気が流れる。

 何とも言えない雰囲気に、どうしようかと悩んでいると、緋色が帰ってきた。

 なんでもなかったように、亮さんの隣に座る。


 緋色の頭をなでながら、ほっとしている亮さんがいた。




 それからは普通の会話に戻り、ひとしきり話をした後、
 わたしたちは亮さんの家を後にした。