「どうやったら、覚えてくれるんだろう?」

「おれたちなんて、どうでもいい存在なのか」

 小声でぶつぶつと呟いている。

 かなり、自信喪失しているらしい。
 追い詰められるように、
 日に日に顔色が悪くなっている。

 すぐに覚えてもらえるだろうと、
 軽く考えていたに違いない。
 彼らにしてみれば、
 緋色の仕打ちは拷問に近いのかもしれないわね。

 女子達からはモテ、男子達からは頼りにされ、
 いつでも人の中心にいるような主役級の二人。 


 自分が知らない人間は多々いても、
 自分を知らない人間はいないだろうと、
 思っていたに違いない。

 こんなに、名前を覚えてもらえない女の子がいるなんて
 思いもしなかっただろうな。