母の日のプレゼントか。

 よく考えたわよね。
 それだけで情にほだされるような感じだけど。

 でもよく考えてみたらいいと思うわよ?


 プレゼントするって言っても、所詮、親のお金でしょ。

 母親にしても中学生の子供に
 何か期待しているわけでもないと思うし、
 それでも感謝の気持ちを伝えたいと
 思うのなら、
 無難に花でいいんじゃないの?


 それだけで十分喜んでもらえると思うわよ。

 今はどこの店に行っても
 そういう商品は溢れているしね。

 だから、わざわざ一緒に行かなくても
 いいんじゃないかな。
 って。



 思わず、現実的なことを考えてしまったわ。


 これは緋色を誘うための手段であって
 目的ではないものね。




 男子達も色々考える。



 映画や遊園地、動物園、カラオケ、
 ショッピングモールとか。
 一緒に勉強とかもあったわよね。

 緋色のこと、
 どの辺の成績だと思って
 誘ったのかしらね?

 誘った本人の成績も気になるところ、
 その場で聞いてみたらよかったかしら?

 疑問も残るところだけど。

 どの誘いも一度として
 OKしたことはないし。

 彼らは自分達の用件を言い終わると
 返事を待つかのようにわたしをじっと見た。


 その表情は期待しているような、不安なような、
 合格発表でも見るみたいに、
 ドキドキしている顔だった。