「だから、後をつけてきちゃったの。」
「そう。」
さらりと答える先輩も、私と同じことをかんがえているのかな。
見られていたら、先輩にとってもまずいもんね。
でも、そもそも何で先輩は、あんなことしたのだろうか。
「やだ、ふたりともそんなに驚くことないじゃない。」
「いや、俺だって驚いたし。」
私と先輩が答える前に隆弘が言った。
「ふふっ。」
「だから、急に喉乾いたとか言い出したのか。」
納得したように呟く隆弘。
ということは、隆弘には見られていなかったみたい。
よかった…。
「私、びっくりしちゃった。随分仲良くなったみたいね?」
「え…。」
思わず戸惑った声が出てしまった。
でも、由梨子さんの言い方がなんだかひっかかって。
「そうかな。」
いつも通りの笑みを携えて、答える先輩からは、動揺の色は伺えない。

