「ごめんね、花那ちゃん。急に。」
「いえ…。」
先に待ち合わせ場所に着いていた先輩は、この間のことなんて感じさせないようにいつも通り。
申し訳なさそうに苦笑いする先輩に何だか拍子抜けしてしまった。
この3日間ずっと先輩の言葉と、あの冷たい顔が引っ掛かっていた。
「じゃあ行こうか。着いてきて。」
「あ、はい。どこに行くんですか?」
「良いところ。この前のお返し。」
いたずらっ子のような笑みを浮かべて歩きだす先輩。
本当にこの前の先輩は何だったんだろうっていうくらい。
前を歩く先輩の背中をぼっーと見ながらそんなことを考えていた。

