「花那、ごめん。明日昼飯食いにいこう、か。」
隆弘からのメール。
明日は土曜日で久しぶりのデートのお誘い。
嬉しいけど、途中でまた由梨子さんに呼び出されて行ってしまうだろうと考えると行きたくない。
会いたいけど、会いたくない。
隆弘と、由梨子さんの関係がどんなものかなんて分からない。
でも、ただならぬ関係だってことは分かる。
別れた方が良いってことも分かる。
でも、離れる方が苦しくてつらい。
ふたりのことを知る前は楽しみで楽しみで仕方なかった休日のデートも、楽しめそうもない。
もう、なにも考えたくなくてメールを返さずに寝てしまった。
「澤田さん、疲れちゃうでしょ?気を使いすぎて。」
初めて話した日。
「俺には言いたいこと言ってほしいよ。」
好きだと自覚した日。
「俺と付き合って。」
告白してくれた日。
「花那はさ、優しいね。本当に優しすぎる。」
初めてデートした日。
「は…。」
隆弘が夢に出てきた。
考えないようにと、寝たのに…。

