「花那ちゃんは、お人好しだね。」
「え…?」
先輩は目を伏せて、呟くように言う。
「今日も、あの女子達のこと。本当は友達なんかじゃないでしょ?それに今だって。」
「そんな…私は…。」
やっぱり先輩はすべてお見通しだったんだ。
それでいて、私の気持ちを汲んで知らんぷりしてくれてたんだね。
「今だって、俺の気持ちを考えてくれてたんでしょ?」
「えっと…。」
「顔にかいてあったよ。先輩大丈夫かなって。」
先輩は、そこまで分かってたんだ。
「バレてました?」
「うん、本当顔に全部書いてあったよ。」
「そうですか…。」
それからふたりとも無言で歩く。
辺りはもう、すっかり暗くなっていた。

