「お待たせ。」



私がお店を出てから少しして、先輩もでてきた。



「ごちそうさまです。美味しかったです。」



「それは、よかった。送るよ。」



「ありがとうございます。」




ふたりとも、隆弘と由梨子さんのことには触れない。



メールで分かっていたとはいえ、まさか遭遇するなんて。



「花那ちゃん?」



「あ?すみません。」



「もう、聞いてなかったの?」



「すみません…。」



先輩が、気を使って話しかけてくれていると言うのに。



先輩だって辛いはずなのに。



私は、自分のことしか考えられていない。



「いいよいいよ。」



自己嫌悪に陥ってる私に、先輩は笑いかける。



まるで、気にしないでって言っているみたいで。


「ありがとうございます。」


私は、いろんな意味を込めて笑った。