私と先輩の間に沈黙が流れる。
お互いの料理をただ、黙々と食べる。
そんな時
―――カランカラン。
「いらっしゃいませ。お客さま2名様でよろしいですか?」
「はい、大丈夫です。」
この声…。
「こちらのお席でよろしいでしょうか?」
「えぇ。」
先輩も分かったのだろう。
驚いたように私を見てくる。
「せんぱ…」
「しっ!」
私の言葉を遮って、口元に指を当てながら言う先輩。
今、この店に入ってきたふたりは、隆弘と由梨子さんだ。
「花那ちゃん、出るよ。あのふたりは俺達より奥の席に居るから静かに席をたてば分からないだろう。」
小声で話してくる先輩に頷く。
ふたりとも料理は食べ終わったところだし、一刻も早く出たい。
「じゃあ、俺がお会計してくるから、花那ちゃんは先に外に出てて?」
私は先輩の言葉に頷いて、席をたった。

