窒息寸前、1秒





「え…それはどういう意味ですか?」



今のところまったく話がつかめない。



「由梨子の父親には、愛人がいたんだ。まぁ、どっちが2番目なのかって感じだったけどね。」




「それが…隆弘のお母さん?」



「そう。」




でも、そしたら隆弘と由梨子さんは半分血が繋がっていることになる。



どういうこと?



「でも、隆弘の母親も既婚者だった。W不倫っていうやつだね。」




「だから、血が繋がっていないんですね。」





「知ってたの…?」




私の言葉に先輩は、動揺する気持ちをを隠しきれていない様子。




「はい。隆弘と由梨子さんが二人で話していたのを聞いてしまって。」





「そう、知ってたのか。由梨子の父親と、隆弘の母親は去年お互いの相手と離婚して、めでたく再婚する予定。で、ふたりは姉弟になるんだ。」




苦しそうに表情を歪めて、言う先輩。



「先輩…。」



大丈夫ですか?なんて気休めにもならない言葉を飲み込む。



先輩の顔には怒りと悲しみが交じった何とも言えない表情が浮かんでいる。



そんな先輩を見て、先輩が由梨子さんのことを本当に大切に思ってることがわかった。