「あの…もう、お腹いっぱいです。」
チキンな私は所詮この程度しか言えない。
心のなかでは、いい加減にして!意味わかんない!とか思いつつ。
「あ、そうなの?女子って甘いものは別腹じゃないの?」
当たり前のことのように聞いてくる先輩。
なんなの、その認識。
「男も女も腹はひとつだと思います。」
「ははっ。そうだよね。じゃあ包んでもらおう。よかったら持って帰って?」
「いえ、そこまでしてもらうのは…。」
だいたい、ここに連れてきてくれること自体が意味分からないのに…。
「いいんだよ。これは餌付けだからね?」
「はぁい?」
おかしそうに目を細めて言う先輩に動揺して、変な声が出てしまった。
「意味が分からない?そうだよね。」
当たり前だろうが、と思いつつも黙ってコクリと頷く。
「俺は回りくどいことは嫌いなんだ。単刀直入に言うよ?」
頭が混乱してきて、ポカーンとする私。
せ先輩はそんな私に気づいて、しっかり聞いてね?と念を押して
「俺と浮気、しちゃおっか?」
と言った。

