「私たち、婚約指輪を見に来たのよ。」
「「は…?」」
「ふふっ。さすが息ピッタリね?」
由梨子さんの衝撃的な発言に私と隆弘は声を重ねて、顔を見合わせた。
由梨子さんは余裕の表情で、クスクス愉しそうに笑っている。
でも、孝輔先輩の顔には何の感情も浮かんでいなかった。
変なの…。
「私たち、結婚する予定なのよ。」
「あぁ。だいぶ先だけどな。俺が大学卒業して、由梨子も短大を卒業したらな。」
「そうなのか…。先輩も姉さんもいってくれれば良かったのに。付き合ってたことも知らなかったよ。」
「ごめんね。恥ずかしくて。」
「でも、おめでとう。先輩も姉さんも。」
「おめでとうございます。」
気が早いわね、なんて笑っている由梨子さん
の隣の孝輔先輩は軽く微笑んでいる。
美男美女カップル。
本当にお似合い。
由梨子さんには、将来を誓いあった素敵な彼がいる。
本当に、私もう安心してもいいのかもしれない。

