「あら、隆弘と、花那ちゃん?」



突然上から降ってきた声の方に、目線をあげると、男の人と腕を組んでいる由梨子さんが、いた。




「由梨子…姉さん…。」




先に声を発したのは隆弘。



目を丸くして、あからさまに驚いていて、声には動揺の色が出ている。




「こんにちは。」




自分から驚くほど冷めた機械的な声が出た。




「こんにちは。」




私のそれに答えたのは、由梨子さんの隣の男の人だった。



私と同じような冷めた機械的な声で、その顔からは何の感情も読み取れない。



でも、その男の人はスタイルも良くて綺麗な顔だちをしていて、由梨子さんと並ぶと、とても絵になっていた。



「一緒にいいかな?花那ちゃん。」




由梨子さんは、そうやって私に選ばせようとするんだ。



拒否権なんてあってないようなものだって、分かってて。




「はい、ぜひ。」



「ありがとう。花那ちゃん。」



由梨子さんはふわりと笑って、私の隣に座った。