わたしは、腕を掴んでいる人を見つめた。




「ここ………女子トイレなんですけど……」





ほんとは、嬉しいくせに可愛くないことを言ってしまう。


素直に喜べばいいのに………





「………声が聞こえたからな…お前の……」




それだけで……?



わたしは、彼の顔を見れなくなっていた。

嬉しさと……恥ずかしさで……




「とりあえず…ここは不味い……逃げるぞ」




彼は、わたしの腕を掴んだまま走り出した。

わたしは、ただ彼についていった。




引かれる腕が少し痛かったけど……それがまた嬉しかった。





「はぁ……はぁ……」




二人で逃げた先は……中庭………






何で……また…嫌な場所……