好きになってもいいですか?

「いやいやいや、うち重いし、
史安くん潰れちゃうから。」

「俺のこと、バカにしてる?」

史安くんは少し怒った口調になった。

顔は見えないけどきっと怖い顔
してると思う。

バカになんてしてないけど、本当に
重いし、何より悪くてそんなことしてもらえるはずがない。

「ご、ごめん、してないけど、本当に
申し訳ないし遠慮する。」

「あのさー、申し訳ないと思ってるなら
乗って?怒るよ?」

史安くん、怒ってる…。

「わかったよ!乗る!」

えーい、もう乗っちゃえ!

私は思いっきり背中に乗っかった。

「よしっ!」

史安くんはいつもの史安くんに戻って
螺旋階段を一段飛ばしで駆け抜けた。

史安くんの髪からせっけんみたいな優しいにおいがした。

時々当たる髪の毛がくすぐったい。

すごく居心地がよくて、私は史安くんの
背中で眠ってしまった。