~桜~                     テストも終わって一段落。
あのキス以来、巧と一気に距離が縮まったような気がする。
…でも私には一つもやもやしていることがあった。
それが具体的になんなのかが私自身よくわからない。
…きっと、今日の天気のせいだよね。
朝から雲行きが怪しい空。
多分、そのせいだ。よね…


            「あっ~桜ちゃんだっ」
「あっ…」
後ろから呼ばれ振り向いた先にいたのは、飛鳥ちゃん。
「今から体育だよね知ってた今日って七組と二組合同なんだよ」
「…そうなんだ」
しばらくそんな会話を続けたあと飛鳥ちゃんが急に立ち止まる。
「ねぇ巧にさぁ、“好き”っていわれたことあるあっ言われたことぐらいあるよねぇ本当に好きなんだったら」
え…
「あっ…もしかして言われたことなかったごめんね」
そういった飛鳥ちゃんは、体育館に入っていく。
飛鳥ちゃんがいったあとも私の頭のなかは飛鳥ちゃんのいったことでいっぱいだった。
『“好き”って言われたことある』
ー…私…好きって言われたことあった告白されたときも『付き合って』だった。
違うよね
飛鳥ちゃんがいったことなんて気にしたらだめだよね
『本当に好きなんだったら好きっていうよね』
ー…巧は私のこと好きじゃないの巧の“好き”が聞きたいよー…。