―今日も冴えているわ~
―あの男子、涙をこらえてる
―可哀想~。だけど、馬鹿だね
―あははははは
笑い声と黄色い声が響く。
「璃夜のモテ子!」
「そう言う亜弥さんだって」
じゃれあう2人の横で、胸をなで下ろしている男子が一人。
「良かった~!
璃夜ちゃんが断ってくれて」
いつも笑顔の芦斗は言った。
胸をなで下ろしていた瑠慈羽は、再びビクつく羽目になった。
『こいつ、まさかと思うけど
俺の気持ちを見抜いてる?』
放課後。校門の前で。
「僕の愛しい璃夜ちゃん。
デートしない?」
「私はいつからあなたのに
なったのですか?」
「デートしよーよ!ねっ」
「無視しないで下さい」
「よしっ、決まり!」
「勝手に決めっっ、~~~~っ!」
芦斗は璃夜を口説き、最終的には手で口を抑えて声を封じ、抱え込むようにして誘拐されたかのごとく連れ去られてしまった。
