「千華。」
「ん?」
「そこの豪邸から、お嬢様的な人が出て来なかった?」
きっと千華なら見ているはずだ、と確信していた。だが…。
「お嬢様?見てないけど…。」
「そんな…。」
現実はそんなに甘くない。
俺はその後も探してみたが、凪沙はおろか、目撃者すらも見つからなかった。
「七尾さん…すみません。」
俺は七尾さんに電話をかけ、謝った。