ニコイチ。

そして千華は、そのカレーを俺の口に入れた。
「!」
熱かったのだが、声が出ない。スプーンをくわえているのもあるだろうが、何より状況がよく分からなかった。
「どう?」
すごく美味しい、と言いたかったが、言えなかった。
スプーンが俺の口から抜き取られた。これが、俺の記憶上初の「あ~ん」だった。