どうして何も言ってあげられないんだ、俺。凪沙自身、このことで苦しんでいるんだ。今は少しでも、気を楽にさせてあげるべきじゃないのか。七尾さんは絶対なのか、いや、違うはずだ。だったら…。
俺は重い口をこじ開けようとした。だが、教室に他の生徒が入ってきたので、言えなかった。言いたいのに、言えなかった。