騒動とは、言ってしまえば修羅場である。
ミズキと、ミズキの彼女と、それから私の三人の修羅場。

私がミズキに色目を使ったとかなんとか、そんな噂が同級生たちの間でまことしやかに囁かれている。

三角関係なんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがあるだろう。もちろん、私はただ巻き込まれただけの被害者であって、ミズキを奪おうだなんて欠片も思ってはいない。

それなのに周囲はそう思ってはくれないようだった。


ミズキの彼女である優那は、元々は私の友だちだった。別に誰が自分の友人を彼女にしようが彼氏にしようが私は全く構わないんだけど、その相手がよりによってミズキだったのだ。

ミズキとは幼い頃からの腐れ縁で、もはや兄弟と言っても差し支えのないくらい気の置けない間柄だ。

そんな私たちは、他人から見るとそれはもう仲睦まじく見えるらしく、思春期真っ盛りのクラスメイトたちにとって恰好の餌食だったのだろう。よくからかわれたりするものだった。


そして不運なことに、優那もまた私たちの仲を勘違いしてしまった大勢の内の一人であるようだった。