『あやめ、早くおいで』

『ちょっと待って!追いてかないでよ...』

祥太(しょうた)、私を捨てないで

もっとそばにいて

お願い..だから...


ジリリリリリリリリ....

はっ、夢だったのか。

ベッドから起き上がり、時計を見る。

8時ぃぃぃぃ!?

私、目覚まし時計まちがえてセットしちゃった!?

      そんなぁぁぁぁぁ!!
 

 突然ですが、私、高槻あやめ(たかつきあやめ)といいます。
最近中2になったばっかりです。

  ただ今、大ピンチ!!

「遅刻するううう!!」

大急ぎで制服に着替え、

髪を整えないと...って

髪ボサボサ!

私の髪は、肩までつくぐらいの長さで、
生まれつき髪の量が多い。
おまけにクセッ毛で扱いが大変。

今日は時間がないからヘアゴムで一つにまとめよう!

 そして歯を磨き、スクールバッグを持って
家のドアを開ける。  

      「行ってきまーす!」

うちは、両親共働きでお母さんもお父さんも
朝早く家を出る。そして私は1人っ子だから私が起きた時には私しかいないんだよね。

でも、『行ってきまーす』と言うことで
私の一日が始まるかんじがするから、
このあいさつは、欠かせない日課の一つなんだ。



 元気よく家を出たわたしは走って学校に向かう。

  
   
   「今なら間に合うぞ!急げよ!」

 校門の前で手を降っている生活指導の先生の横を通り過ぎ、教室へといそぐ。                    

        ガラガラッ
    ♪キーンコーンカーンコーン

   教室のドアを開けた音とチャイムが
  ほぼ同時だったけど、セーフかな?

   「高槻、早く席につきなさい。」

  良かった。この言葉はセーフって事だよね。

   「あやめ、大丈夫?どーしたの?」

 私の前の席から優しく問いかけてきたのは、白石美湖(しらいしまこ)。
  
 「いやー、実はねー...」
 
   
 美湖とは中1から友達になって、今では親友と呼べる仲だ。

  「喋るなー。ホームルーム中だぞ。」


 「すみませーん。じゃああやめ、昼休み屋上で話そう!」

  私が頷くと、美湖も前を向く。


遅刻しそうになったこと以外は、普通のいつもどおりの一日が始まった。



...はずだった。