怪我の巧妙

「当たり前だ。そこ座ってくれるか?どこがどういう感じで痛いんだ?」  

「右のふくらはぎ当たりかな。ズキズキ、とまではいかないけど、なんかジーンってする感じかな。震えるっていうのも違うけど…」

渚がそこまで言うと隼人は渚を止めて触診を始めた。  

「…左は大丈夫なんだな?…じゃあ、また痛かったら言ってくれ。…ここは?…これはどうだ?…そこまで重度のものじゃないみたいだな。ただ使いすぎただけだろう。じゃあ、この薬でも塗っておこうか」

そう言うと隼人は塗り薬を取り出して来て、  

「試合は明日もあるんだろう?まあもし痛くなったら、これをつけておくといいかもな。…よし、これでOKだ。それでも痛かったらまた来いよ。我慢はしなくていいから。…それにしてもお前も変わったな。1年の時のお前だったらこれぐらいの怪我じゃ、絶対来てなかっただろうな」  

「だろうね。あの時、心配されるのも嫌いだったし、自分を過信してるとこもあったし。自分だったら大丈夫、ってね。でも今は違うでしょ?」