怪我の巧妙

「…ごめんね、先生。私も心配させるの嫌だったけど、先生が私を信用してないって思っちゃって…。自分で歩いて先生を見返したかったんだ。でも…ごめんなさい!足も手も両方がズキズキ痛むの…。もう歩けないかな、私…」

渚のそんな声は次第に涙声になっていった。

隼人はそんな渚が泣き止むまでずっと抱きかかえていた。

しばらく泣いていたが、やがて隼人に大丈夫と伝え、隼人から離れた。  

「落ち着いたか?…さあ、じゃあ痛いっていってたとこでも診せてもらおうかな。文句は?」

渚はクスッと笑い、  

「もう!あるわけないでしょ!」と言って大人しく隼人の言うことを聞いた。

隼人は渚の症状を聞いてうなずいた。  

「うーん。ただ無理のしすぎだと思うが、一応触診しとこうか。仰向けに寝てくれるか?…よし。じゃあ、もし痛いとこがあったら言ってな。…こことか痛いか?」  

「ちょっと痛いかな。激痛が走ってるのは…痛い!…。そこそこ…。なんかなってる?」