怪我の巧妙

「手を使うな!」

渚は間一髪で隼人に手を触れずに止めていた。  

「…先生?なんで私が手を使うって分かったの?この状態じゃ見えてないはずでしょ?」

そう聞かれると隼人は渚から離れ、そして向かい合った。  

「知りたいか?理由は簡単さ。俺、お前の行動ぐらい、大体読めるから…かな」  

「ひっどい!それって私が単純ってこと?」  

「いいや。俺がお前をそれぐらい好きってことさ。正直で何にでもぶつかっていくお前が、な」

隼人はそう言って渚を見つめた。

渚もその隼人の深いひとみの中を見つめ返した。  

「昨日は怒鳴って悪かったな。でも本当にお前が心配だったんだ。いつも無理しすぎるからな、お前は。あんなにハラハラするのはお前の行動を見ている時だけだ。頼むから心配させないでくれ。俺だってお前を叱りたくはないしな。でもそんな身体で変なことをしたら治らないかもしれない…。お前が自由に走れないとこなんて見たくないんだよ!」

隼人は目を渚から離し、額に手を押し付けて怒鳴った。