怪我の巧妙

「んー、歩いて20分ぐらいかな。歩いて帰れますよ」

「何言ってんだ?骨折ではなく捻挫だが、歩いて20分のとこに帰れる程軽いけがじゃないぞ」

と言って、隼人が振り向くと、そこには渚の姿はなかった。

慌てて廊下に出ると、足をかばいながら歩いていく渚の姿があった。  

「おい、無理するとひどくなるぞ!いいから遠慮せずに乗れって」

隼人は渚に話し掛けたが、

「大丈夫ですよ。これぐらいよくやってますから」

と言う渚の返事が返ってきた。そういうと渚は振り返って

「先生、ありがとうございました。じゃ、また明日。さよなら!」

と言って帰っていった。  

「意地っ張り!」

隼人は渚の背中にそう言葉をかけた。