渚の身体には何も異常はなく、しかも全ての骨折の箇所も治っていたため、ギプスもスムーズに外せたのだった。

しかし渚はもちろん、隼人も成美先生も、その全ての箇所の細さに愕然とした。

「骨と皮」と言うのにまさにそれ以上相応しい状態はないだろうと言うような細さだったのだ。  

「…なんか信じられないな、これが私の手足なんてね…。あんなに脂肪を落としたいって思う程の太い腕だったのにな。…ねえ、先生!これ、もとに戻るの?しかも全然動かないし…。…ほら、ピクっとは動くけど、曲げることさえできないんだよ、私…」

渚は悲しそうな目でなかなか思うように動かない自分の手足を見つめて言った。  

「渚、心配するな。しばらくの辛抱だ。徐々に少しずつ動かせる範囲が増えていくから。ゆっくりだぞ。無理に動かそうとするのは厳禁だぞ!」

隼人は少し渚の頭に手をのせて、優しく撫でた。

渚は不安ながらも、隼人の優しい手で笑顔を見せた。