「こんな関係っていうのは、しばらく人に言わないでおこうな。変なうわさ立てられても嫌だし。まあそれは別にいいさ。それより今はお前のけがだな。俺の診るところでは悪化はしてないと思うが、もしかしたら痛みはしばらく続くかもしれないな。ったく、無理して歩こうとかするからだぞっ!とにかく俺だって早く治してやりたいけど、こればかりは待つしかないからな。絶対に無理はするな。これはお前のためなんだからな。骨折なんてものは治るのに時間がかかるっていうお決まりなんだ。しかもお前みたいに重症ならなおさらだ。我慢強く一緒にがんばろうな」

「先生のためならいくらでも我慢するよ、私。先生がそうしろって言うなら」  

「ばか。俺のためじゃないだろ?お前自身のためだ。ゆっくり、あせらないで。いいな」

隼人はそう言うと、最初の目的だった検温を済ませ、部屋を出ていった。

渚は部屋に1人で残されていたが、今までのように人が出ていったあとに空虚感はなかった。

もちろんそれは隼人との理解が深まったからだった。

もう無理なんてしない。

ゆっくりでもいいからとにかく治そう。

渚はそう心に決めたのだった。