怪我の巧妙

渚が心配していた試合は、渚が戻った時には終わっていて、あのままこっちのペースで試合に勝ち進んでいた。渚は次の試合からいつものようにスタメンとしてチームに入った。

渚のけがは心配されたが、そんなことを言って聞くような子でないことはみんな承知してたし、渚自身、痛みは多少あるものの、大した痛みはなかった。

しかし事故は起こった。

それは準決勝の途中だった。

横のコートからボールが転がってきていたのに審判が気付いてこちらの試合を止めようとしたが、ボールの転がる位置を見て笛は吹かなかった。

それは渚の少し後ろの方へ転がるように見えたのだ。

そしてこっちのコートのボールは渚の方へ向かっていた。

試合に集中してる渚に転がるボールが目に止まるわけはなかった。

渚はカットしたが体勢が悪く少し後ろに飛んで、逆にボールを前に行かせた。

そして渚は後ろに転んだが、手をつくはずのところに横のコートのボールが転がってきた。

運悪くボールの上に右手をついた渚は、そっち側に倒れひじを強打した。

また手をついた体勢がおかしかったことにより、手首にも異常が出ていた。

そしてまたボールが渚の手を連れてさらに転がったことで足に負担がかかったのか、両足に異常が出てしまった。

さらにボールが渚の手を抜けていった瞬間、渚は支えをなくして倒れ、頭を強打した。