怪我の巧妙

渚はいつもの明るい声で言った。

隼人は丁寧に痛さを押さえるように、しかし試合に差しつかえのないように、テーピングを巻いた。  

「こんなもんかな。痛くないか?あと、ある程度自由に動かせるか?試合するんだから自由度がないとな」

隼人の言葉に渚は目を輝かせた。

試合できるの?やっていいの?

隼人は渚の声が聞こえたかのようにうなずいた。  

「ははは。お前は本当に分かりやすいやつだな。突き指なんてもんはバレーやってるやつにはつきものだ。しっかりしたテーピングをしとけば、ハデに動いても多少痛いぐらいだ。思いきってやってこい。ただし!自分の身体に傷がついてるのを無理をしてひどくするのは絶対ダメだぞ!痛かったら少し休め!無理だけは絶対するなよ。何が起こるか分からんからな!気を付けてな!」  

「アイアイサー!」

渚は笑顔でそう言うと体育館の方へ走っていった。

隼人はそんな渚の後ろ姿を見送っていた。