怪我の巧妙

体育館に行くと隼人はすぐに渚を見つけた。

渚の方も隼人を見て直感的に止められる、と思ったのか、わざと元気にふるまってみせた。  
「あ、先生!今、ちょうどタイムなんです。今はまだ、勝ってますよ!」  

「止めろ、下手な芝居は。メンバーの子が気にして、俺を呼びに来た。なんでお前はそう無茶ばっかりするんだ?俺を心配させたいのか?」

隼人は怒鳴ったが、すぐに優しい顔に戻り、顧問の先生に、  

「すみません。ちょっとこいつの治療してきますから、他のメンバーで試合を続行して下さい」

隼人はそう言うと渚の手をつかんで、出て行こうとした。

渚は必死で抵抗したが、隼人ににらまれ、しょうがなくついていった。

外に出た時、渚は体育館の中で笛が鳴り、試合が再開したことを知った。

自分がいないところで試合が進むのに耐えられなくて、渚は隼人の手を振り切って保健室に向かって走り出した。

隼人も急いで後を追い、保健室に向かった