怪我の巧妙

「成美先生、早見です。なんでしょうか?」

渚はそう言うと保健室の中に入っていった。

中では隼人がいつも通りで座っていた。  

「先生、来ましたけど。一体なんですか?」  

「なんかお前の顔をここで見るのは久しぶりだな。その様子だとあんまり無理してけがはしてないみたいだな。まあ座れ」

そう言った隼人の顔にはいつもの優しい笑顔があった。  

「そうですね。あんまり変なことして、大会に出られないのは嫌ですから。で?何でいきなり呼ばれたのかよく分からないですけど」  

「ああ。実はな、親父に言われたんだけど、もう一度お前の検査をしとけってことでさ。何しろあんなことがあったから心配でな、俺も」

渚はあっけに取られて、少しの間黙っていたが、すぐに立ち上がって、  

「失礼しました」と、保健室から出ようとした。