「やめてよ、徹!…ごめん、怒鳴っちゃって。…ね、りん、悪いんだけど席外してもらえない?徹と2人で話したいの」

りんが行ったあと、渚は徹に別れ話をし始めた。

徹はよほどショックだったのか、最初のうちは言ってることがよく分からない、と繰り返していた。

渚自身、徹のことはまだ好きだったが、しかしそれ以上に隼人のことが気になっていた。

渚の心はもうすでに隼人のところへ行ってしまっていた。

徹は最初、断固反対の意見で、悪いとこは治すと言うようなお決まりの言葉を何度も言っていたが、日が経つに連れ、徹は納得し、最後には別れること出来た。

最後の日、渚は徹にこう言った。  

「本当にごめん、徹。でも私は自分に正直でいたい。自分勝手っていうことは分かってる。クラスで話してくれなくてもいい。でも私は今まで通り、クラスメートとして話し掛けるから」  

「分かってるよ。俺がお前を好きなのはそんなところだから。付き合う前の友達に戻ろう」

そう言って徹は帰っていった。

渚はそんな徹の後ろ姿を見ながら思った。

今は無理でも、いつか隼人に気持ちを打ち明けようと…。