渚は静かにうなづき、笑った。

その本当の高校生の笑顔に、隼人も信吾もどれだけほっとしたかしれなかった。

それでも最初は大変だった。

渚は1口ごとに戻してしまっていたのだ。

食べられない苦しみに泣いたこともあったが、なんとか乗り越え、少しずつ食欲を取り戻していった。

そして8月29日、退院を控えた渚は最後の検査に満点でパスし、30日に元気に退院していった。

「院長先生、成美先生、そして看護婦の皆さん、本当にお世話になりました。皆さんに会えなくなるのは悲しいですが、もう死にそうな経験はこりごりです」

渚は退院の日の朝、そうみんなに別れを告げた。

渚のスピーチにみんながわいた。  

「調子が悪い時は悪いで素直に休まないと命取りだよ。でもとにかく元気になって良かったね」

という院長の言葉を最後に渚は病院を去った。