怪我の巧妙

「ねえ、…ホントに、治るの?こんな傷だらけの身体も拒食も…。人に弱いって思われたくなくて黙ってたけど、私、痛かった。この傷、ずっとうずいてた。夜だって痛さで眠れないぐらいだった。…先生、私を助けて!私心細かった!」

そう言うと渚は声を押し殺して隼人に抱きついて泣いた。

涙は止めどもなく溢れ出た。  

「…やっと正直になったな。よしよし。それが回復への第1歩だ。自分が病気って認めないことには治そうって気もしないだろ?」

渚はしばらく泣いていたが、またすぐにいつもの笑顔に戻った。

そして、  

「先生、ありがとう。私、新学期には絶対学校に戻る。だからそれまでよろしくね」  

「何言ってんだ?それからだって学校でちゃんとケアするさ。さて、俺はそろそろ行かなきゃならないけど、もう大丈夫だな?脱走なんて考えるなよ」  

「うん。もう大丈夫。自分の身体は大切にするべきだもんね」

隼人は久々に安心感を覚えた。