怪我の巧妙

 「私、無理なんかしてません。帰らないと。部活の方でも親も心配してると思います。先生、お願いだから離して!!」  

「お前なぁ、俺が保健室で話したのを忘れたのか?お前は入院する必要があるって。お前が寝てる間に少し、親父と診たけど、やっぱりかなり衰弱してるんだよ」

隼人は渚をベッドに戻しながら言った。

そして、渚が暴れて抜けた点滴の針を渚にさして、大人しくさせた。

渚はその針を見ながら言った。  

「お願い、先生。せめてこの針だけでも外して。この針、点滴?これしてるとなんだかだるいの。それって必要ないからじゃないの?あと、今日は我慢するから明日には家に帰して」  

「針をさしててだるいのはお前の調子が少し良くなりかけてるんだよ。身体がひどい状態だから、かえって逆に感じてるんだよ。あとな、部活の方にも親にも連絡してあるよ。御両親、びっくりされてたけど了解を得たから。明日なんかに帰れるような状態じゃないって何回言わせる気だ?」