怪我の巧妙

次の日の朝、隼人は渚を部活で学校に来るところを捕まえた。

渚は隼人を見てにっこり笑い、  

「先生、おはようございます」

と声をかけた。

隼人もそれに答えて挨拶したが、急に無理に渚を引っ張って保健室に連れていった。

何がどうなってるのか分からない渚は戸惑い顔。

椅子に座らされ、やっと息をついた渚は口を開いた。  

「先生、一体なんですか?私、これから部活なんで、失礼します」

そう言って渚が立とうとすると、隼人は渚の手首をつかみ、引き止め、同時に脈拍も確認する。  

「…やっぱりまだ脈が弱いな。お前、今日はご飯、食べられたのか?」  

「…いいえ。でも私、元気だし。大丈夫ですよ。先生が心配して下さってるのは、よく分かります。お気持ちはうれしいですが、私、本当に大丈夫だから」

渚はがんばって保健室から離れようとしたが、隼人は行かさなかった。