「成美先生、また渚です。カットの練習中にいきなりふらふらしだして倒れちゃったんです」

と同じ1年の部員。  

「分かった。またすぐに戻ると思うから、君は練習に戻りなさい」

隼人はそう言うと早速手当てを始めた。

まずは意識の確認。  

「おい、早見。分かるか?」

隼人は呼びかけ、頬を軽くたたくが、渚はうめき声は出すものの、目は覚まさなかった。

いつもの怪我などであれば、まずここまで意識レベルが低くなることはない。

ふと気になった隼人は渚の額に手を当てた。

熱がある。

脈拍も確認すると、手首では脈自体が触れにくく、首の頸動脈でどうにか触れることができた。

脈拍微弱。

この状態では誰でもまともに動くことはできない。

それがハードなスポーツとなればなおさらだ。

しばらく無理をさせたくなくて、隼人は渚を寝かせておくつもりだったが、幸か不幸か、渚は案外すぐに目覚めた。