「ほら、泣くなよ。穴がふさがればバレーだって出来るようになるんだから。それに泣いてたら普通に呼吸できないだろ?また痛くなるぞ?」

「…もうなってるかも…」

渚の言葉に驚いて隼人は抱きしめていた渚を慌てて放した。

隼人はおろおろして、もう一度診察しそうな勢いだったが、渚はもう泣いていなかった。

「ありがとう、先生!私、もう大丈夫だよ!先生が心配してくれてるのが分かったから心が温かくなったよ。じゃあ授業に戻るね」

渚はそう言って保健室を後にした。

隼人は少しの間、何が起こったのかわからなかったが、渚の後ろ姿に向かって

「お前のことはいつも見てるよ」

と小さく声をかけ、すぐに机に向かい始めた。

それから毎日渚は保健室に通い、2週間後に無事にバレー部に復帰したのであった。

隼人への思いを胸に秘めながら…。