渚はあまりのことに声も出なかった。

今までだって胸を打ちつけたことは何度もあった。

しかしどれもすぐに治るものだった。

渚は涙が出てくるのを必死にこらえて隼人に質問した。

「先生?穴が塞がるまで、どのくらいかかるの?」

「大体1、2週間だろうな。短いけど、それまではできるだけ肺を休ませてやるんだ。思いっきり息を吐いたり吸ったり、息を無理に長くとめることもだめ。できるだけいつも普通の状態でいるんだ。できるか?」

「出来なくてもしなきゃいけないんでしょ?本当ならバレーしたいけど」

「よく分かってんじゃないか。いいか、絶対にやるなよ?その場合、強制入院させるからな」

隼人は単なる脅しのつもりだったのだが、渚の胸にその言葉は強く押しかかった。

そしてこらえていた涙をあふれさせた。

隼人もさすがにぎょっとして、渚をあやし始めた。