「先生、何か分かった?」  

「んー、別に異常らしいものは感じなかったんだけど、もしかすると胸部に触診では分からない異常があるかもしれないからな。念には念を入れてだ。まだそのままでいろよ。聴診器当ててみるから」

そう言うと隼人はていねいに渚の胸部を診察し始めた。

途中、隼人の顔が険しくなって、渚がドキッとしたこともあったが、一応診察は終わり、大丈夫なように見えた。  

「大丈夫だったでしょ?私、今までも色々やってきたけど、入院が必要だったことはないんだよね。ははっ」

「あんまり笑うな。今まではそうでも今回はちょっと違う。俺の診断が間違ってなかったら、今、お前の肺には小さな小さな穴があいている。気胸だな。このまま安静にしていれば塞がる程度だ。が、間違えば穴は広がって手術が必要になる」