愛する人へ今



「…それよりさ、」

「ん?」





「”咲”ってだれ?」



どくん



心臓が大きく音を立てる。
なんで凛くんが咲のこと知ってるの?


「杏、熱でうなされてずっと”咲”って「凛くんには関係ない!」」

言わないで。
その名前を呼ばないで。


「…わるい。」

静かになった部屋で時計の音だけが響く。

私が凛くんにひどい態度をとったことはわかっている。
謝らなくちゃ。

そう思うのに言葉が出てこない。





「俺がここにいたらゆっくり休めないよな。悪い。戻るわ。」

凛くんはそう言って立ち上がる。

待って。そうじゃない。


助けてもらった上にこんなひどい態度とっていいはずない。

凛くんに咲のこと全部言う…。

言っていつまで引きずってるんだ、ってあきれられてもいい。
ちゃんと説明しなきゃだめだ。



このままじゃいつまでたっても私が前に進めない。

強くなるって決めたんだ。





「…待って。」