「凛くんだよ。杏寿がいないの気付いてすぐに道を引き返してくれたの。」
「え…。凛くんが?」
「杏寿をおぶって宿舎まで帰ってきたときはちょっと感動しちゃったなあ。」
結構遠かったはずなのに、おぶって…。
あの時感じた咲のあたたかさだと思ったのは凛くんだったのか。
「あとでお礼言わなきゃ…。」
そっか。
咲なわけないもんね。
咲はもうこの世にいない。
分かっているのにまた現実を突きつけられた気がしてすごく苦しくなった。
「じゃあ私は夕食会場に行くけど、杏寿はちゃんと休んでなよ。足もケガしてるんだから外でないこと!あとで夕食貰ってくるから。」
「うん、わかってるよ。楽しんできてね。」
「本当は私もここで食べたいけど…。」
先生に部屋で食べる許可をもらえなかった藍は文句を言いながらしぶしぶ夕食会場に向かった。
「いいなあ。私もみんなとご飯食べたかったなあ。」
独り言がシンとした部屋に静かに消えていった。
藍によると私たちの班の山登りの結果は失格だったらしい。
私を宿舎に連れ帰っていたせいで、時間内にすべてのポイントを回ることができなかったみたい。
みんなに申し訳ないことしたな。
あとで謝らないと。

