長く夢を見ていた気がする。
いつも見る咲の夢。
でもなに?
いつもとなにか違う。
いつもよりあたたかい。
「ん…。ここ、部屋……?」
「杏寿!」
目を覚ますと藍の心配そうな顔が見えた。
私なんでここに?
たしか山道で足くじいて、そこからどうしたんだっけ。
「藍…。私、どうなったの?」
「杏寿、熱が出て気を失ってたんだよ。ごめんね、転んだの気付かなくて。」
あ、熱があったのか。
だから頭痛かったんだ。
藍はすごく申し訳なさそうにしている。
また心配かけてしまったみたいだ。
「こっちこそごめんね、藍。もう大丈夫だよ。」
「うん…。無事でよかった。」
藍はほっとした顔をしていた。
「あ、ねえ。私ここまでどうやって来たの?」
不思議だった。
私が雨宿りしていた場所からここまでは結構距離がある。
藍が連れてきてくれたのかな。