秋輝が5分とかいうから結構近いと思っていたのに、アイツはどこにもいなかった。
「杏!どこにいる、杏!」
叫んでみても返事はなくて。
俺の焦りは募る一方だった。
無事でいてくれ、杏。
「…き。」
「杏!!」
小さく聞こえた声は紛れもなく杏の声だった。
道脇の林のほうに入っていくと、雨でびしょびしょになった杏がいた。
「おい、杏!大丈夫か?」
震えている体に触れるとすごく熱かった。
「お前…熱があるんじゃねーか。」
「…き……。」
「ん?」
小さな声で何度も何かを呟いているが、雨の音がひどいせいでなにも聞こえない。
「杏、なんか言ったか?」

