名前で呼ばれないことが嫌なのか?
それにしたって泣きそうになることはないはずだ。
すごく気になった。
女なんか全然興味もないし、むしろうざいだけ。
顔は化粧で厚く塗られてるし香水くさい。
俺の周りのやつはみんなそうだった。
だけどアイツは違った。
大きなぱっちりとした二重の目、小さくてふっくらした唇。
これだけ可愛ければ化粧なんか必要ない。
香水のにおいなんかしない。
におうのはシャンプーらしきいいにおいだ。
自動販売機の前で会ったときは思わずじっと見てしまった。
こんな可愛い子が同じ学校にいたんだ。
アイツと別れた後もずっと気になって仕方がなかった。
俺、どうしたんだよ。
偶然廊下から見えた隣の教室にはあいつがいた。
今までなんで気付かなかったんだろう。
一緒にいた蓮に話しかけるという口実で教室に入る。
よく分からない感情が俺を襲う。
また会えた。
そのことが嬉しかった。